新しい春。
ごきげんよう。キャサりんです。
新年度。
うららかな春のひざしがまぶしい時期ですね。
街をいろどる、新社会人、新入生、新生児。
相手のあたまに『新』と付くだけで、とてもフレッシュな響きになります。
とくに学生のひとは、いよいよ新学期。
新しいイベントが目白押しですね。
私も学生のころは、新学期が大好きでした。
なんといっても、夏休みや冬休みと比べて、
春休みは宿題の提出がないんですね。
このルールを考えたひとは最高です。すごく仲良くなりたい。
また私のように、夏休みや冬休みの宿題の提出を必死に踏み倒す学生も、春休みまで逃げ切ればもう安心です!
さあ。昨年度のことは水に流して、すがすがしい学生生活をおくりましょう!
※宿題を踏み倒された先生とは、その後一生、円満な関係を築けないものとして、しっかり覚悟をきめましょうね♪
そんな私にも今年度ぜひ挑戦したいものがあります。
それは
です。
いいですよね。フラッシュモブ。
みんなで平静を装って、しかるべきときにダンス!サプライズ!
そして愛のプロポーズ!!
ディズニーランドのパレードがA級グルメだとすれば、フラッシュモブはB級グルメといえるでしょう。決して華やかではないですが、にぎやかでぬくもりのある味です。「お母さん、またダシ変えた?」、そんな声すら動画から聞こえてきます。
もちろん自分がされるのは死んでも嫌ですが、
「人間に生まれたからには、1度はフラッシュモブしてみたい!!」
これは全人類共通の想いではないでしょうか。
揺れる車窓の景色を眺めながら、つい自分のフラッシュモブ姿を想像してしまいます。
………
くたびれたシャツをまとった老人が土俵で、かれこれ30分ほどスピーチをしている。
「皆さんの栄えある将来を応援しています。そして……うっ…」
突然、低いうめき声とともに、老人が倒れる。表情は苦しげで、からだは痙攣していた。すぐさま、黒服が駆けつけるがどこかおかしい。
みな、黒いマントを羽織っているのだ。
ひとり、またひとり。
会場のどこからともなく集まる黒服はみな、
マントをはためかせている。
動揺のみえる行事。
そのアナウンスが、どこか遠くに聞こえる。
ざわめく会場に、突如音楽が流れた。不連続で低音の響くメロディ。
そのリズムに身を任せるかのように、複数の黒服が次々とマントを投げ捨てていった。
黒服たちがマントの中に着用していたのは、
女学生の制服だった。
規則的に土俵の極(きわ)まで広がって踊る黒服たち。そのスカートが、ひらりひらりと揺れている。
キレのある振り付けとともに、黒服の手から塩が空(くう)を舞う。
ときおり、ひしゃくを打ち鳴らす、「カーン!」という音がこぎみ良い。
ステップが激しくなるたびに舞う土煙。それさえも美しく見えた。
塩は塩の使われ方をされず。
ひしゃくはひしゃくの使われ方をされず。
土俵は土俵の使われ方をされていなかった。
もうアナウンスは聞こえない。
こんな土俵はだれも知らない。
女学生の制服が、踊る。踊る。踊る。
最後のフォーメーションが完成し、音楽が、やんだ。
いつの間にか黒服たちの中心には、倒れたはずの老人が立っている。
その姿は上等なスーツに包まれ、その目は情熱に満ちていた。
一歩前に出ると、
低く、よく通る声で、老人は小箱を開けた。
「結婚してくれ。麻衣子。」
20xx年、4月1日。両国国技館にて。
乞うご期待。
………
もう寝ます。
では。
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